生産の流れ

種苗導入

 水産庁の指導に基づき、各県で取り決められた採捕機関並びに漁協圏内で許可を得た漁船により、約3g~10g程度のもじゃ仔を採捕します。採捕尾数についても、各漁船に割り当てがあり、その都度、所属漁協の職員の立会により、検量され、その漁獲量を県に報告することが義務付けられています。よって、採捕期間内に採捕尾数が許可尾数に達した場合は、その時点で、もじゃ仔漁は終了します。水際で貴重な天然資源を枯渇させないことを目的とした厳しい規則です。

もじゃ仔漁

 もじゃ仔は、4月中旬から5月上旬の約20日間、海面を浮遊している流れ藻の下に隠れている稚魚を狙って漁がおこなわれます。ぶりの幼魚を「もじゃ仔」と呼ぶのは、流れ藻に付いている雑魚だからとも言われています。

 孵化したての「もじゃ仔」は、体色も流れ藻と同じ色(薄茶色)で擬態することで敵から身を守っているものと思われます。

 漁場は各県で定められた海域で採捕しますが、鹿児島県では、主に種子島、屋久島近海です。

 もじゃ仔は、海水温に敏感で、水温20℃までの海域に生息しているため、漁船は、水温分布の状況や潮の流れなどを考慮し、もじゃ仔を狙って漁場を目指します。

 漁の方法は、漁船の前方に約5mの竿を横に出し、取り網を取り付け、もじゃ仔と流れ藻を同時に船上にすくい上げ、藻を振って船倉にもじゃ仔だけを活かし、餌付け用の生簀へと運び入れます。

 不良の場合は、港には帰港せず、漁場に数日間流れている場合もあります。

餌付け

 採捕した、もじゃ仔は、おおまかなサイズ毎に180cm四方の化繊網に分けられ、固形飼料(金魚の網のようなもの)により餌付けが行われます。

 餌付け作業は、一日4~5回行われます。

 餌に付いた、もじゃ仔は、更にサイズことに細かく分けられ、大きな生簀に集められます。

選 別

 魚も人と同様に、成長に差があり、10m四方の金網に入るまで何度となく選別が繰り返されます。

 何故、このような作業をしなければならないのかというと、出荷時ににサイズのバラつきを防ぐことと、出荷期間中に常に同じような平均サイズで出荷できるようにすることを目的に行われています。

分養・混養

 適切な飼育環境を保つために、魚の成長とともに法養尾数や金網の網目のサイズなどに合わせるために、一つの生簀から複数の生簀に分けて育成していきます。このような作業を「分養」と言います。

 反対に、出荷時に極端に成長が遅い小さな魚を、同じ様なサイズの魚の入った生簀に選別し、再び育成することを目的とした作業を「混養」と言います。

 このような作業を繰り返すことにより、適切な飼育環境で健全な発育が保たれ、美味しい健康な「ぶり」に育ちます。

育 成

 主に、もじゃ仔の餌付けから出荷までの投餌作業や、様々な作業をまとめて育成と言います。

 まず、減投薬を目的に一尾ずつワクチン接種を行い、病気に強い魚の育成に努めています。

 投餌に付いては、新鮮な冷凍餌料(カタクチイワシ、サバ、アジなど)に配合飼料を船上でペレッターという機械で混ぜ、造粒機でペレット状にしたものを与えます。ペレット状にすることで餌料効率が上がり、漁場環境にも優しい養殖が可能となります。 

 また、品質の均一化が可能な、単独EP(ドライペレット)による育成も行っています。

 投餌作業は、1日1回で週に5日間が基本ですが、沖での作業や天候の影響により休餌することも、よくあります。

出 荷

 以上のような様々な作業を経て、採捕から約1年4か月から3年で出荷サイスに成長した生簀の魚群から順番に出荷していきます。

 出荷形態には、沖で活き絞め血抜きし、一尾ずつスチロール箱に入れてトラックによって、市場へ流通させるラウンド出荷や、または、加工場にて様々な商品形態にして流通させる出荷や、活かしたまま、活魚車やボートで市場に運ぶ活魚出荷などがあります。

 ラウンド出荷の作業内容は、まず沖で、取り網を使い、魚を集め、タモですくい、一尾ずつ自動活き絞め機に投入し、即殺血抜き作業をし、氷水の入った船倉で魚を冷やし込みます。その後、港の荷捌き所に船を接岸し、水洗いし一尾ずつ箱詰め検量を行い、パーチを張り、氷を打ってトラックに積込みます。

 加工出荷は、港に接岸するまでの作業は基本的に同じで、加工場で様々な商品形態に加工し、真空パックし、箱詰めして発送します。

 活魚出荷については、生きた状態で検量し、生きた状態で直接、市場や量販店に届ける出荷形態を言います。

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